速効T.O.C講座

TOC 4つの側面


 TOC(制約理論)は「ザ・ゴール」が生産管理理論として紹介されたために、生産管理の理論として知られるようになりました。確かにその分野でのインパクトの大きさは測りしれません。ところが主題であった生産管理の話よりももっと応用範囲の広い、興味深い側面があることがあり、むしろこちらのほうが重要じゃないかと思えるくらいです。

ザ・ゴールの生産管理以外で重要なものは以下の3つの分野です。
 ・「思考プロセス」・・・・・・問題解決技法
 ・「スループット会計」・・・・業績、利益管理
 ・「クリティカルチェーン」・・プロジェクト管理

 ここでは、細部にまでは立ち入りませんが生産管理の理論のそもそもの根拠としているのが、「思考プロセス」であり、生産の結果である業績評価や基準を提供するのがスループット会計。更に新製品開発に適用したのが(TOCによる)プロジェクト管理です。それぞれの内容がゴールドラット氏の以下の著書に対応しています。

 ・ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か
 ・ザ・ゴール2 思考プロセス
 ・チェンジ・ザ・ルール! なぜ出せるはずの利益がでないのか
 ・クリティカルチェーン なぜプロジェクトは予定通りに進まないのか

どれも大事な要素なのですが、(私にとって、という括弧つきで)「思考プロセス」が最も重要であるように思えます。つまり、どのように物事を考えてゆくか、という視点を提供しているからです。
目の前にある状況をどのような方法で捉え、さらに課題を解決するためにどのような視点で取り組むか、という本質的な部分を提供してくれるからです。ここに示されている思考プロセスをたどって行くと、結果として他の分野で紹介される方法や結論に行き着くことがわかってきます。

とにもかくにも実験を


もう一度、
このようなことでお悩みでしょう、ということで。

□ 工程改善が業績につながらない
□ 在庫削減活動の効果が上がらない
□ リードタイムが短くならない

理論や理屈は抜きにして、まずはできそうなことをやってみましょう。

① なによりも優先して次のような所を探します。ここがネック工程です
 ・ 仕掛かり品がいつも溜まっているところ
 ・ ここ2ヵ月間、残業が普通になってしまっているところ
    または一番、残業が多いところでも構いません
② ネック工程だけはできるだけ休み無く働いてもらいましょう、昼食時間も交代制で
   すぐに工程改善、なんてことを言い出してはいけません。
③ ネック工程を通る製品に注意して、そこを通過した分だけを工程に投入する
  注文が合ったからといって、むやみと資材を投入してはいけません

どうですか?本当にできそうですか?
従業員から不満は出てきませんでしたか?

さて、こんな疑問はありませんか。
・ ネック以外の工程は放置しておいても大丈夫?
・ ネック工程がモグラたたきみたいにあちこち動く?